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行くのは「今」だった

2026年7月18日 05時05分 (7月21日 11時08分更新)
道の端に水路がある街並み。野菜や花の土を落としたり、足を浸したりしているという=岡山県美作市で

道の端に水路がある街並み。野菜や花の土を落としたり、足を浸したりしているという=岡山県美作市で

 ちょっと早い夏休みをもらって、家族や友達と4人で岡山と鳥取の小旅行をしてきました。今回行くきっかけになったのは、岡山の美作にあるレストラン。ほとんどひとりで切り盛りしているここのオーナーシェフは、もともとうちの宿のお客さんであり、今では友達です。とはいえ、しっかり会ってお話ししたのは今年の3月末のこと。
 もともと大阪ご出身の方で、農業に興味があって美作に移住。かつて宿場町だった歴史的な町並みが残る通りの一角の古民家を改修し、飲食店を営まれています。開店して2年ほどはお店のことでいっぱいいっぱいだったそうですが、その後少しずつ仕事のやり方を工夫され、今は週の半分を地元の農家さんたちの畑に行ってお手伝いし、もう半分でその畑の野菜を使ってレストランで提供するというサイクルで安定されているそう。そんなお話に、帰られた何日も後からじわじわと元気をもらいました。
 今回、無理を言って、朝の準備から見せてもらいました。あらかじめ農家さんには連絡されているので、挨拶(あいさつ)なしで畑にお邪魔し、野菜を収穫します。きゅうり、なす、ししとう、おくら。旬の食材は野菜も魚も能登と似ています。収穫した分ははかりで量って、農家さんへ連絡をします。いただいたお料理は控えめながらも華やかさがあり、安心できる味でした。「美味(おい)しかった」だけではなく、全体を通して「良い時間だった」と思えるような場をつくりたいとおっしゃっていたその姿勢が味にも全部出るのだなあと思います。行きたい国、興味のある本など、自分と重なる点が多く、友達というか、同志のような存在になりました。
 鳥取は前から気になっていた本屋さんと、いつか行ってみたかった鳥取砂丘、友達が興味を持っているパン屋さんが始めた宿泊施設に行きました。本屋さんは通常定休日の日だったのですが、イベントのため特別に営業日、不思議な出会いがありました。夕暮れ時に行った鳥取砂丘は、その日中曇りだったこともあり、砂の上も裸足(はだし)で歩くことができて全身が満たされる時間でした。パン屋さんの宿泊施設には夜遅くに着いたのですが、翌朝チェックアウトの時に宿の方と話が盛り上がり、1時間ほど座っておしゃべりできました。
 2泊3日、すべてが計算されたかのように完璧でした。ああ、行くのは今だった。がんばっても会えない人もいるし、がんばらなくてもすっと会えちゃう人もいる。たっぷり充電したので、夏本番、またやわやわ働きます。(湯宿経営)
なのはな日和

 石川県珠洲市で湯宿を営む坂本菜の花さんの連載コラム。北陸の天気のようにままならない日々を、自分らしく暮らしていく記録です。

なのはな日和

 石川県珠洲市で湯宿を営む坂本菜の花さんの連載コラム。北陸の天気のようにままならない日々を、自分らしく暮らしていく記録です。

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