白い服に心も軽くなる
2026年8月15日 05時05分 (8月20日 10時27分更新)
中学生の時くらいからぼんやりと思い描いていた夢は、「小さく暮らすこと」でした。別の言い方をすれば、自分の生活を自分の手の届く範囲でやっていくということ。食料をできるだけ自給し、服を作り、簡単な大工仕事をし、お風呂や暖をとるための薪は自分の山で調達する。どうしても自分でつくることができないものや、できないことは顔の見える人に頼る。なので大人になることは、いろいろなことが自分でできるようになることだと思っていたし、そう願っていました。
ところが現実は。居間からすぐ見えるようなところにある畑は草ボーボー。裁縫はいっこうに上達の気配なく、パンツの膝の穴でも母頼み。不器用なので大工仕事も向かず、草刈り機やチェーンソーもまだうまく使うことができません。そのことに絶望するような気持ちになる時もあったのですが、最近はもっとずうずうしく誰かを頼ろう、と思っています。
今月19日、うちの宿で岐阜県を拠点に服を制作している都竹政貴さんの試着オーダー会を行います。
今年の2月、愛知県新城市に住む友達家族のお家に一週間ほどお邪魔していた時、都竹さんの工房へ連れて行ってもらったご縁です。ご自宅でもあるそこは看板らしきものもなく、一見ふつうの民家。中庭から縁側に上がって、工房となっている部屋へ。デニムや帆布で作られた服や、その型が、ハンガーラックいっぱいにかかっています。入った瞬間目に入ったのは、白い帆布のパンツ。全部の服を見たけれど、やっぱり最初のパンツが忘れられず、結局それを注文しました。そう、その場で買うのではなく、試着オーダーのスタイル。その分、「ボタンではなく、ゴムひもがいい」とか「裾はもう少しすぼめて」とか、細かいリクエストを聞いてもらえます。3月末に届くようにお願いして、無事に受け取りました。私は上下ともに、白い服をあまりもっていないのですが、その服はこれまでもずっと着ていたかのような安心感がありました。初めて着たのは、桜も満開に近いある日。気合を入れよう、と思って、人生初の上下白。色の力ってあなどれないですね。心まで軽くなるような1日でした。それに、とっても不思議な出会いもあった日でした。だから、お守りのような服。
新城市の友達家族たちがお盆明けに泊まりに来る日に、都竹さんも合わせて来てくれるので、せっかくなら行商してもらおう、と決まったイベントです。試着オーダー会は今月16日、17日に、富山市五福の「atelier.R.S.」でもあります。よかったらぜひ。(湯宿経営)
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