地下通路に「沖縄の怒り」
2026年8月30日 05時05分 (8月31日 10時15分更新)
気になる映画があって、思いつきのように日帰りで金沢へ。映画のことを書こうと思っていたのですが、見終わって香林坊の地下通路を歩いていた時に目にした展示にクギ付けになり、その足で本会場の美術館へ寄り道をしたそのことを書こうと思います。
地下通路の展示は、ガラスのショーケースいっぱいに宅配用のピザの箱が無造作に押し込まれている、といったもの。近づいて見ると箱の表には「Anger Okinawa!」(怒りの沖縄)などとあります。箱の裏面には作品説明があり、タイトルは「ピザくさい支配に県民怒る」
2004年8月13日、沖縄県宜野湾市の沖縄国際大学に、米軍普天間飛行場の大型輸送ヘリが墜落した事故が起こった際、当時の大学学長はおろか、沖縄県警さえも現場に立ち入ることができなかった中で、なぜかピザ屋の配達員だけが、立ち入りを許可されたという事実を皮肉った作品だそうです。作者は照屋勇賢さんという沖縄出身の方です。
本会場に行くと、照屋さんの作品だけではなく、世界中のアーティストの作品が金沢市内のあちこちに展示されているということが分かりました。受け付けした時点で各会場の営業時間まで残り1時間を切っていましたが、照屋さんの他の作品を見たくてチケットを購入。徒歩5分ほどのところにある作品を見に行きました。そこは建物の屋上が会場になっていて、作品が見えた瞬間、声が出てしまいました。目の前には傾きかけた太陽、真っ青な空に雲が少し、カラフルなたくさんのTシャツが風にたなびいています。台風の影響か、強めの風が吹き続けていて、Tシャツは物干しワイヤにからまったものも多かったので、1枚ずつ広げながら見ます。沖縄の観光地によくあるような背面にメッセージがプリントされているものなのですが、「受け入れること守られること? 狙われること?」「祖母は空襲の経験者である」など、作者の言葉になっていて、その裾に近いところにとても小さな字で、沖縄で起こった事件とその日付が記されています。米軍統治下を含む1940年代から96年までの間に米兵が起こした事件の中で、未起訴のものだそうです。
95年、米兵による少女暴行事件が起こったことを機に、翌96年には米軍基地の整理縮小や日米地位協定の見直しについて、沖縄で全国初の県民投票が行われましたが、私が那覇の高校に在学していた2015年からの3年間でも、事件や事故は起こりました。
芸術作品の持つ力と可能性に勇気をもらいました。(湯宿経営)
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