「野球王国」プエルトリコに異変 メジャー選手は25年で半減…ESPNが指摘した“ドラフトの弊害”

[ 2026年9月17日 06:58 ]

2017年、ジャイアンツからドラフト1巡目指名を受けたプエルトリコ出身のエリオト・ラモス。今季はヤンキースでプレー(AP)

 かつてロベルト・クレメンテ、ロベルト・アロマー、イバン・ロドリゲスら数々の名選手を輩出したプエルトリコで、メジャーリーガーが減少している背景を、米スポーツ専門局「ESPN」電子版が「野球衰退の内幕)」と題して特集した。

 象徴的なのが今季の数字だ。プエルトリコ生まれのメジャーリーガーは27人。2001年の54人から半減した。さらに今季は1988年以来初めて同地出身のオールスター選手がゼロ。ドラフトでも指名されたのはわずか5人で、最上位でも13巡目だった。1巡目指名は2017年のエリオト・ラモスを最後に出ていない。

 ESPNが大きな転機として取り上げたのが、1989年にプエルトリコの選手がMLBドラフトの対象になったことだ。それ以前はドミニカ共和国などと同様、球団がアマチュアFAとして選手を獲得できたため、現地で選手を発掘し、育成するメリットが大きかった。しかしドラフト対象になると、自球団が育成しても他球団に指名される可能性が生まれ、球団による現地への投資が減少したとの見方がある。1990年代に活躍したカルロス・デルガド氏は「われわれはドラフトの犠牲者だ」と指摘。当時の黄金世代の多くは、ドラフト導入前の国際FA制度を通じてプロ入りしていた。

 一方、ドミニカ共和国では各球団がアカデミーを設置し、若手を発掘・育成するシステムが定着。今季開幕時には同国出身選手が93人、ベネズエラも60人を数え、プエルトリコとの差は大きく広がった。MLBもアカデミーや育成プログラム、ショーケースなどを実施してきたが、現地には高校年代の充実したリーグや寮など育成インフラが不足しているという。さらに今後の労使交渉ではドラフトを20巡目から12巡目へ縮小する案なども浮上しており、関係者には人材流出がさらに進むとの懸念もある。

 記事では、プエルトリコを再び国際FAの対象に戻すことや、一定期間ドラフトから外して効果を検証する案も紹介。かつて「野球王国」と呼ばれた島の復活には、才能そのものではなく、才能を発掘し育てる「仕組み」の再構築が必要だと問題提起している。

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